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【拡散希望】現場実態に合わせて希望者全員の無期転換を!山形大学との団体交渉で組合側が逆提案

 「山形大学の今のやり方はいたたまれません」とある有期教職員は語ります。他の会社で整理解雇された時には、会社に本当にお金がないとわかって、それなりに納得できたとのこと。これに対して、山形大学は、来年度の雇用経費が確保され、仕事も続くとわかっていても、「雇用が5年に達したから」「雇用経費が外部資金だから」と言って一律に大量の雇い止めをしようとしています。...

 10月3日の団体交渉で、東北非正規教職員組合と首都圏大学非常勤講師組合は、大学側の新規則案は現場の実態に合わないことを指摘し、まずは10月17日までに検討状況を回答するよう求めました。大学側は検討する旨を返答しました。

1. お金も仕事もあるのに雇い止め?現場実態に合わない新規則案

 就業規則に「5年上限」を導入して有期教職員の無期転換を回避しようとしてきた大学側は、組合との団体交渉を経て、今年2月「無期転換を可能とする規則整備を行う」と回答。

 しかし、この9月に大学側が示した新規則案は、5年上限を原則としたまま、それを「適用しないことができる」例外を部分的に拡げるというもの。
 しかも、雇用経費に「外部資金」が当てられている人は、一律に無期転換から排除されています。

 団交の場で上述の有期教職員の声に対する見解を求ると、大学側は「雇用経費も担当業務も続くなら、5年で辞めさせたポストには、代わりの人を雇う」などと言い放ちました。

 「同じポストに別の人を雇うなら、元の人を無期転換してほしい」と宮城労働局は東北大学に啓発指導をしています。「将来お金がなくなるかも知れない」という言い分がまかりとおるなら、日本中の経営者が無期転換を拒めることになってしまいます。
 山形大学は、これらの声を傾聴し、現場の実態を直視して、理不尽な雇い止めは撤回すべきです。

2. 無期転換を回避する目的は明白

 大学側は「有期雇用契約の更新上限を定めること自体は違法ではない」などと弁明します。これに対し、組合側は「厚労省は『5年にせよ』とは言っていないはず。なぜ6年や7年ではなく、5年なのか」と追及しました。

 大学側は「6年以上の更新上限なら普通は有期教職員側から無期転換申し込みがあるだろう」などと返答。組合側が「それでは、厚労省が戒めている『無期転換回避の目的』を自白しているのに他ならない」と指摘しても、まともな回答は語られませんでした。

 また、「外部資金の人」は5年で排除すると言うが、プロジェクトには6年や7年のものもあるのに、それが仕上げに入る時期にスタッフの首を斬るのか?と問い質しても、大学側は無回答でした。
 無期転換回避に執着する態度では現場の実態に合わないことは明白です。

3. 改定手続の不備~有期教職員の意思反映が不十分な現行就業規則

 有期教職員の意思を十分に反映しない従業員代表から意見聴取をしただけで就業規則を改定するのは大問題です。早稲田大学が刑事告発されて検察審査会から「不起訴不当」の議決も受けたように、厳しい対応を迫られます。

 山形大学では、現行の5年上限を定めた2012年の就業規則改定の際、有期教職員にも従業員代表に立候補する被選挙権があることも周知されず、非常勤講師などはそもそも選出手続きの対象外だった疑いがあると判明しました。組合側は、大学側が十分調査すべきだと求めました。

4. 更新上限への「同意」は強引すぎる

 大学側は「雇い止めについて個別にクレームがあれば個別に対応する。あなたは5年上限に同意したはずだ、と説明する」などと言います。

 しかし、組合側のアンケートでは「労働条件通知書が渡されていない」「部署名さえ間違っている」などの指摘も職員から出されています。労働条件通知書を見せられたその日その場で直ちにサインせよと迫られるケースもある、と前々回の団交で大学側も認めていました。しかも署名押印しなければ翌年度への更新はないと大学が断言していた状況下では、5年上限への「同意」は「真の合意」と言えるのか、事実上の強制であり無効ではないか、現場実態の調査が求められます。

5. 雇用財源を確保する努力を

 大学側は「外部資金はいつなくなるかわからない」から「一律に5年上限を設定する」という理不尽な態度を断ち切れず、組合側が3月に提案した「雇用調整基金や予備費」を設ける、資金提供先とは「打ち切り違約金」を定める、等々で雇用財源を確保しする努力については、検討さえしていなかったことが判明。

 「京大の山中先生のように、マラソンでも、あるいは組合と合同で駅伝でもやって、雇用財源の確保に奮闘奔走する本気を示しましょう」と呼び掛けても副学長は首をかしげていましたが、安定財源の確保については大学側も検討の意向を示しました。

6. 就業規則の5年上限は2017年度は不適用に。新規則については誠実な労使協議の続行を。

 団体交渉が遅延してきた今となっては、諸問題について誠実に協議を尽くすには時間が足りません。
 雇用不安にかられた有期教職員の中には、年内にも別の職場を探し始める人もいるでしょう。

 そこで私たちは、現行就業規則のままでも5年上限規定は「2017年度は適用しない」ことに大学側がするならば、組合側は「5年上限は無効」との見解は保留して、大学側の新規則案について協議を続ける、と提案しました。

 合わせて、10月17日までに、その検討状況についての誠実な回答が見られなければ、労働委員会への申し立てや労働基準監督暑への刑事告発も辞さない構えを示しました。

 かつての「3年雇い止め規定」から現行の「5年雇い止め規定」に改めたのは「なるべく長く働いて欲しかったから」と大学側も述べています。「長く働いて欲しいのは私たちも一致できる」と組合側は応じ、その趣旨を徹底して「希望者全員が無期転換できる」規則整備に向けて協議を続けよう、と呼び掛けました。


by tohokuhiseiki | 2017-10-11 09:19 | 山形大学