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【拡散希望】高専機構“同意なき賃下げ”を否定せず

賃下げ撤回、差額確保、格差是正めざし交渉継続/組合とともに交渉することを呼びかけます

 東北非正規教職員組合は3月22日東京都内において、首都圏大学非常勤講師組合と共同で、国立高等専門学校機構と2回目の団体交渉を行いました。
 機構側は、2015年度から16年度にかけて一関高専が実施した非常勤講師の賃下げが、時間あたり5200円から4800円への減額だったことを明らかにしたうえで、当時同校は非常勤講師に、この賃下げについて「丁寧な説明をした」と述べるにとどまりました。
 組合側は、2016年3月の東北高専キャラバンの際、非常勤講師一人一人から賃下げの同意を得たのか質問したが、同校は「ご理解をお願いした」と述べるだけで、同意があったと言わなかったことを紹介しました。そして、「丁寧な説明をした」というだけではキャラバン当時の同校の説明と同じであり、組合としては同意なしに賃下げを行ったものと理解する、と強く批判・主張しても、機構は反論しませんでした。
 同意なしの一方的賃下げ・労働条件引き下げは違法です。組合はこの問題について、年度が改まり賃下げが実行される前の2016年3月中に団体交渉の申し入れをし、あくまで同意しない姿勢を明確にしていますので、賃下げ撤回、賃下げによる差額確保の交渉を、今後も継続していきます。

 人事院勧告がアップしていることを勘案すれば、一関高専の賃金を東北の他校並みに下げるのでなく、東北の他校を一関並みに上げるべきだと言えます。賃金は非常勤講師として人間らしい生活ができる金額であるべきです。
 また、労働契約法第20条によれば、有期教職員と無期教職員との間の「合理性のない格差」は違法とされています。
 現在、高専機構としては、常勤教職員などの規則には定めがある期末手当や退職手当が、非常勤教職員就業規則や非常勤教職員給与規則では定められていません。
 組合は、今回の交渉を継続することを約束した機構側に対し、非常勤教職員の期末、退職手当を含む格差問題も交渉議題としていきたいと申し入れました。
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山下さん差額賃金請求で前進
機構側次回まで回答検討へ

 東北非正規教職員組合の組合員で、2016年2月まで仙台高専の非常勤講師だった山下孝明さんは、時間あたり2700円という賃金は不当に低いと在職当初から学校側に異議を唱え説明を求め続けましたが、計算根拠すら示されないまま退職となりました。その非を認めて学校運営を改善するとともに、本来あるべき額との差額相当分を支払うよう、組合は2017年1月、機構に追加要求を提出しました。

 この問題について、山下さんは在職中に宮城労働局のあっせんで学校側と話し合いを始めましたが、学校側は「賃金は機構が決めている」と述べるだけでした。
 しかし機構は、今回の団交で「非常勤講師の賃金は、機構理事長が学校長に権限を委任しており、第一義的な責任も学校長にある」と明確に発言。これを受けて組合側は、宮城労働局での学校側発言は虚偽報告になると厳しく批判しました。
 
 山下さんは前職を定年退職後の6月はじめから仙台高専で就労しましたが、賃金が時間あたり2700円と示されたのは6月半ばでした。労働基準法第15条などでは、労働契約締結時に賃金額を含む労働条件を書面で明示するよう使用者に義務付けており、違反すると30万円以下の罰金が課されえます。
 今年1月の組合の要求提出から2ヶ月も経過しているのに、山下さんとの労働契約締結当時のことを「把握していない」と述べる同校に、「学校として把握できないなら労働基準法第15条違反で労働基準監督署に刑事告発する。監督署に把握してもらおう」と組合は述べました。
 最終的に機構と同校は回答の再検討を約束し、交渉は次回に持ち越されることになりました。

 山下さんと組合は、この問題を機に、運営をしっかり見直し改めてほしいと求めています。

 この他、カリキュラムの変更に伴う労働条件引き下げや、履修期間変更に伴う半年の雇用中断が労働契約法第18条2項のクーリングとされるべきではないこと、非常勤講師にも有給の研修がなされるべきことなどについても組合は要求しています。
 この日は機構側が交渉時間を予め1時間に限定したため十分に話し合えませんでしたが、今後も、さらに情報収集や準備を充実させて、交渉を進めるつもりです。

by tohokuhiseiki | 2017-03-25 06:39 | 国立高専機構