12月「無期転換を避ける目的の雇い止めは法の趣旨に照らして望ましくない」「把握してしっかり啓発指導する」等と改めて通知

#Stop3200人雇い止め #東北大 #雇い止め見直し
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 有期労働者の無期転換申込権確保に向けて、国が動きを強めています。

 有期教職員の雇用に更新上限を設け、法定無期転換の直前で大量雇い止めしようとすることが各大学などで問題となる中、厚生労働省は「無期転換を避けることを目的として無期転換申込権が発生する前に雇い止めをすることは労働契約法の趣旨に照らして望ましいとは言えない」、「無期転換ルールを免れる目的で雇い止めをしているような事案を把握した場合には、都道府県労働局におきましてしっかりと啓発指導をしていきたい」などと国会で答弁しており、都道府県労働局にも関連した指示をしています。さらに文部科学省は各大学に、以上のことを踏まえた「年度内」の対応を繰り返し求めています。

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 事態は以下のように進行してきました。

2013年

2月21日

 田村智子参議院議員(共産党)は参議院予算委員会で、大阪大学が無期転換申込権を発生させないために就業規則で上限を5年に変更したことなどを紹介して国の対応を質しました。
 下村博文文部科学大臣が「教育研究上、必要性があり能力を有する人が一律に契約を終了させられることにならないよう、適切な取り扱いを促していく」と答弁するなど、国が大学などの更新上限・大量雇い止め問題に対応する流れが作られました。

2016年

4月26日

 東北非正規教職員組合と首都圏大学非常勤講師組合は東北大学に対して団体交渉を申し入れ、有期労働者3200人雇い止め撤回、希望する人全員無期転換の趣旨の要求をしました。6月には1回目の団体交渉が行われ、大学側の重要な言質がいくつか確認されました。

 東北大学職員組合も、希望する人全員の無期転換の要求を掲げて運動、交渉を進めていました。

7月 東北大学に対し3200人雇い止め撤回などを求める有識者・弁護士のアピールが発表され、賛同を募る運動が開始されました。
 以上についてマスコミも大きく取り上げ、インターネットでも情報が拡散されました。

9月21日

 希望する人全員の無期転換などを求めて、東北非正規教職員組合、東北大学職員組合、宮城県労働組合総連合、首都圏大学非常勤講師組合の四者連名の共同声明が発表されました。

9月28日

 厚生労働省は大臣官房地方課長、労働基準局長、職業安定局長の三者連名で、都道府県労働局長に対し「労働契約法の「無期転換ルール」の周知について」と題した文書を発しました。この中で厚労省は、「無期転換ルールの適用を免れる目的等で同ルール適用以前に雇止めが行われる等の情報」を「把握した場合」には、「積極的に啓発指導」するよう指示しました。特に「社会的に注目されるような事案について啓発指導を実施した場合」は厚労省本省に随時報告することなども指示しています。(添付資料1~2枚目)
 同じ日に文部科学省も、「無期転換ルールへの対応の状況に係る調査にご協力いただき、法令の趣旨を踏まえ、適切にご対応いただきたい旨」を各大学に連絡した、としています。(添付資料5枚目「記1」に記載あり)

9月29日

 東北非正規教職員組合と首都圏大学非常勤講師組合は、東北大学との2回目の団体交渉に臨みましたが、大学側の交渉要員としてこの回から代理人弁護士が参加。組合側が氏名を明らかにしている組合員の件についてのみ団体交渉に応ずるといった傾向の交渉態度に終始しました。これらは大学側が論戦で追いつめられた結果によるものと考えられました。

10月11日

 東北非正規教職員組合は全国大学高専教職員組合(全大協)や首都圏大学非常勤講師組合とともに参議院議員会館で緊急集会を開催。吉良よし子参議院議員(共産党)を窓口に準備を進め、民進、共産、社民、沖縄の風の各党・会派の議員や議員秘書が参加しました。

10月18日

 東北大学は東北大学職員組合に対し、人事方針の「見直し」(再検討)をする旨表明しました。

11月17日

 10月11日の緊急集会にも参加した福島みずほ議員(社民党)は参議院厚生労働委員会での質問で、大学などの実態を特に重視して以下のように追究し、政府から回答を引き出しました。(添付資料3~4枚目)

(前略)
福島議員 「五年たつと無期になるということで、様々な大学や様々な研究機関、様々なところで五年以内に雇い止めをするということが今本当に広がって、その声が具体的にたくさん寄せられています。
 例えば、次のようなケースは国としてどのような指導、対策をして有期労働者の雇用の安全を図るつもりなのか。
一、五年を超える手前で雇い止めをする場合。
二、五年を超える前に労働条件を下げて更新する旨を使用者が申し込んだ場合。
三、五年を超える前に更新しない旨を一方的に使用者が通告する場合。
四、五年を超える前に不更新とする旨の合意書を締結した場合。というか、よくあるのは、五年を超えないように、不更新条項をその前の更新のときに入れてサインをさせる場合というのはよくあります。
五、契約当初から更新期間、更新回数の上限を五年までと設定する場合
など、いかがでしょうか。」

山越敬一政府参考人 「今御指摘をいただいた五つのケースでございますけれども、これにつきましては、厚生労働省といたしまして、無期転換を避けることを目的として無期転換申込権が発生する前に雇い止めをすることは労働契約法の趣旨に照らして望ましいとは言えないというふうに考えているところでございます。
(中略)無期転換によって雇用の安定がもたらす働く方の意欲とか能力の向上、あるいは企業活動に必要な人材の確保、そういったことに寄与するという、そういったメリットがあるわけでございます(後略)。」

福島議員 「2012年7月31日のこの厚生労働委員会において、西村智奈美副大臣、当時は、「法案が成立した際には、不更新条項を入れさえすれば雇い止め法理の適用が排除されるといった誤解を招くことがないように、従来の判例法理が変更されるものではないということを、(中略)明確に周知したい(中略)」と答弁しております。」
(中略)
「でも、それはなかなか守られていないんですね。(中略)現場では、やはり更新しない、五年前に何とか雇い止めをしてしまうというものが横行している(後略)。」

山越参考人 「(前略)無期転換ルールを免れる目的で雇い止めをしているような事案を把握した場合には、都道府県労働局におきましてしっかりと啓発指導をしていきたいと思います。」

福島議員 「そうしますと、こういう問題を抱えた、問題ではないかと思った労働者は、労働局にというか、各地の労働基準監督暑、様々なところに行けばいいということですか。」

山越参考人 「各地の労働局で対応させていただきたいというふうに思います。」

11月30日

 河野太郎衆議院議員(自民党)は自身のホームページで、厚生労働省と文部科学省が共同して、各大学に対し、無期転換ルールへの対応について通知することになった旨を紹介しています。

12月9日

 文部科学省は各国立大学法人に対し、無期転換ルールへの「対応方針の検討が遅れている」場合は、「平成29年4月の5年目の契約更新時に各労働者に明示できるよう、早急に無期転換ルールへの対応方針を御検討いただきますよう」に求めました。あわせて各大学の「無期転換ルールへの対応状況について把握させていただきたく」と、12月15日15時を期限に調査票の提出を求めました。(添付資料5~6枚目)
 これらは、文科省が12日9日、大臣官房人事課計画調整班の名で各国立大学法人にあてて発した「貴学における無期転換ルールへの対応の検討に関する再周知のお願い及び無期転換ルールへの対応状況に関する調査について(依頼)」と題した文書で示されているものです。
 9月28日の厚労省通知が「把握した場合は」としているのに対し、文科省は大学などを特別に重視してより積極的に実態把握しようとしており、労働組合などの運動や福島議員の質問など国会の動きが影響していることが考えられます。

 文科省が調査票の提出期限とした12月15日は、東北大学職員組合と東北大学との団体交渉が午前中に行われた日でもあります。

 さらに文科省は12月9日の上記文書で各大学に対し、

◆無期転換を避けることを目的として無期転換申込権が発生する前に雇い止めをすることは、労働契約法の趣旨に照らして望ましいとは言えない。
◆無期転換ルールを免れる目的で雇い止めをしているような事案を把握した場合は、都道府県労働局においてしっかりと啓発指導に取り組む。

とした厚生労働省の国会答弁をわざわざ引用し、

◆通算5年到来前の雇い止めについては、個々の事案において、その必要性等について、各国立大学法人に説明責任が生じてくる。

などとも指摘し、改めて無期転換直前の雇い止めを戒めました。

 また文科省の12月9日の上記文書では、自民党の行政改革推進本部(本部長・河野太郎衆議院議員)が「無期転換ルールへの対応については平成29年4月の5年目の契約更新に際して重要な要素であることを踏まえ、早急に、大学が各労働者に、その方針を示すべき」と述べていることも引用されています。東北非正規教職員組合は首都圏大学非常勤講師組合とともに、河野議員が自身のホームページなどで大学有期教職員の更新上限、雇い止め問題を重視していることに注目し、ブログ、フェイスブックで紹介するとともに、全国の有識者、弁護士などに対し、河野議員に意見を集中するよう呼びかけてきました。

 以上のことから、東北大学をはじめとする各大学は、有期教職員の5年の更新上限、大量雇い止め問題に関し、与野党双方から厳しい目で見られており、政府からは「年度内」の解決を催促される形になっていると言えます。

12月21日

 文科省は再度各大学に、大臣官房人事課計画調整班の名で文書連絡し、上記調査票提出への謝意と共に、「未だ対応方針が決まっていない大学につきましては今年度中に無期転換ルールへの対応方針を決定し、平成29年4月の5年目の契約更新の際には、各労働者へ対応方針を明示する必要がある」、「雇い止めについては、個々の事案において、その必要性等について、各国立大学法人に説明責任が生じてくる」など、繰り返し伝えるという念の入り様です。(添付資料7枚目)

 同じ日、東北非正規教職員組合は首都圏大学非常勤講師組合とともに、東北大学との3回目の団体交渉に臨み、労働委員会申し立て等の行為をも辞さない強い姿勢を示しつつ、当面申し立て等を回避し引き続き話し合いにより解決を目指すための条件として、東北大学が就業規則に定めている5年の雇用更新上限の初年度不適用などを提示しました。

 以上の厚労省、文科省、各党議員に関する情報は田村智子参議院議員の事務所から、首都圏大学非常勤講師組合を通じてもたらされました。

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by tohokuhiseiki | 2017-01-08 12:06 | 東北大学 | Comments(0)